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◆コラム10:ネット売買におけるチラシの状態面のリスク

  昨今、チラシもすっかりネットショップやネットオークションといったインターネットを介した売り買いが中心となってきている。
昔ながらの店頭販売という形を取るショップも未だ存在はしているものの、旧作や珍品類はオークションに流れる傾向が強く、店頭販売のショップは品物の確保に苦戦しているようだ。
ショップが近場に無い地方のコレクターに取っては、こういったネットでの買い物と言うのはとても便利なものであろう。
しかし、ネット売買においては、チラシ自体の状態面を十分に把握した上で購入するという事がなかなか難しい。
チラシを直に自分の目で確かめて買うことができる店頭販売と違い、ネットでの買い物は、状態面の心配と言うリスクが付き纏う。

自分はショップがある地域に住みながらも、ネットショップやネットオークションを使ってチラシを買う事も珍しくない。
そして、ごく稀ではあるが、かなりの高額品をネットで購入・落札する事もあるのだが、高額になればなるほどチラシの状態確認が大事になってくる。
それこそ5万・10万・それ以上ともなると、小さな傷が価値に影響してくるし、予想外の折れや破れなど論外だ。
そしてネット売買において、その傷みの度合いを知る術は、商品説明と画像しかない。
買う側からしてみたら、できるだけ事細かな説明と、鮮明な画像で商品を確認したい所だが、残念ながらHPやオークション商品画面の画像では限界はあるし、説明も人によってまちまちであるため、絶対安心は考えられない。
売る側からしても、後で些細な傷ごときでウダウダ言われるのは敬遠したい所だが、そこには「売る側の商品説明・画像が十分か?」という面と「買う側が必要以上に神経質ではないか?」という面がぶつかって、時には揉める事も有り得る話だ。

実は今年、自分も高額品の状態面を巡って、いろいろとスッタモンダした事があったので、一例として紹介してみようと思う。

まず、問題の商品は、「ガンマンシリーズ」のチラシだ。
これは「帰ってきたガンマン」「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」「さすらいのガンマン」の3作が一緒なったオビ型チラシである。
イーストウッド作品が含まれている事から人気はあり、東劇館名入り(館無しのものもあるが、価値はグッと下がる)の美品だと、けっこうなお値段の一品だ。
このチラシ、作りとしては4つ折りでも良さげだが、2つ折りも多数存在しており、BESTは「2つ折り・東劇館名入り」なのだが、自分は4つ折りのものを購入しようと考えたのだ。
画像は小さく、細かな状態を確認する事は難しかったが、商品説明は「折れ目に1箇所傷あり」みたいな内容で、他には何も記載がなかった。
詳細な金額をここに記す事は控えるが、完品では無い事もあり、10万には全然届かない額ではあった。
ところが、無事に取り引き成立となり、いざ振り込もうかという段になって、売り手から「目立たないが、シワがあるので、5000円値引く」という連絡があった。
それを受け、とりあえず、商品は送ってもらう事として、現物を見て判断させてもらう事にした。

そしてチラシが届きました。
まず、商品説明にあった「折れ目の傷」ですが、こんな感じです」
うーむ、傷は1箇所じゃないような・・・・

そして、後から申し出があった「シワ」ですが、こんな感じです。
うーむ、これが「目立たないシワ」なのか??自分的にはむしろ「シワだらけ」なんだが・・・・

更に更に、細かく状態を確認すると、出るわ出るわ、あちこちから難が見つけられます。
シワがキツ過ぎて、印刷が剥げている所が3箇所もあります。

そして、角折れも見つかりました。

ここまで商品説明に無い難が見つかったという事に納得が行かなかった自分は、取り引きをキャンセルし、返品(返金)を申し出て、それはそれで受け入れてもらったのですが、それだけでは話は終わりません。
実は、売り手は、もう1枚、同じチラシの美品を持っているという。
そして、迷惑をかけたお詫びに、この美品チラシの方を改めてどうでしょうか?という申し出があったのだ。
その美品チラシの方は、2つ折りで、当然東劇館名入り。
そして、しつこく「折れや傷は無いのか?」と問い合わせ、「キレイだと
思います」と言う回答を得、お値段はこれまた10万を下回る金額でという事であった。(もちろん、先の難ありちらしよりは数万は高かったが、それでもお買い得と判断した)

とりあえず、今回もチラシを送ってもらい、満足したらその時点で取り引き成立という形を了承してもらい、チラシの到着を待ちました。
そして程なくチラシ到着。早速状態確認です。

おおっ!今度は一見キレイな感じです!

当初の予算からはオーバーではあったものの、美品でこの値段なら、思い切って購入するか!?と心に決めかけて、再度状態チェックをしてみます。
すると・・・・・・
ガーン!折り直し跡が!!

個人によって捉え方はまちまちだと思うが、自分にとっては「折り直し跡」というのは減点ポイントであり、この点を事前に発見・通知できない売り手に対して、かなりの失望を感じてしまったのである。

結局、最初の難ありチラシも、2度目のチラシも共に返品し、代金も返金してもらう事で終了となった取り引きであった。
もしかしたら、折り直し跡を加味しても、適切な価格であったかもしれないとも考えたが、やはり事前の説明が無い難が見つかった時点で購入意欲は大きく損なわれてしまったわけです。


さて、今回は、この売り手を責めたくてこのコラムを書いたわけではない。
自分から見れば商品の状態についてズボラな売り手に映ったが(売り手から見たら、自分はさぞかし神経質でうるさいヤツだと思ったかな?)、最初の値引きやら、別品の取り引き提案、そして返品・返金も了承してもらったという事で、まだ良心的だったと思う。
しかし、場合によっては、こんな事がありながらも返品・返金に応じてもらえず、もっと泥沼化、あるいは相当なトラブルに発展する事も有り得るだろう。
そこがネット売買におけるリスクたる所以なのだ。

特にオークションに於いては、個人的に「危険キーワード」というものがある。
・状態は画像で判断してください。 ※他に説明は無し。
・古いものなので、経年の傷みはあります。
・きれいだと思います。
こんな説明だけの場合は、なるべく事前に質問欄から状態を再確認する必要があると思っている。
※少なくとも、事前に質問し、その回答にも無い難があった場合と、何の質問もせずに後で抗議するのとではだいぶ意味合いが違ってくる。

そして画像の方も、注意してみてみると「ワザとか!?」というような「難隠し」が行われている事すらある。
(最たる例は、「荒野の用心棒」チラシにおけるベルマーク部分隠しである)
更に、商品説明や画像がどうこう言う以前に、チラシそのものがパチもん(知ってて売ってるのか、知らずに売ってるのかは分からんが)というケースもあるので、特に高額品については慎重な手順を踏む事が肝要です。

とは言え、事前の質問も、慎重な手順も、場合によっては「神経質で厄介なヤツ」とみなされてBL入り・・・なんて事も有り得るわけで、どうやっても何らかのリスクは付き纏う事は避けられない。
リスクが現実のものとならないよう、コレクター間でも出品者やネットショップに関する情報交換を行い、売り手ともども不幸な結果にならないような努力は必要だと感じております。
そのような情報交換は、ネット掲示板等では実名を挙げる事もよろしくないので(間違った情報を流したり曲解されると、最悪営業妨害・名誉毀損などの犯罪に発展する事すらあるかも)難しい事ですけどね。

この場を借りて、ネットショップの方、及び出品を多くされる方にお願いなんですが、商品説明はできるだけこと細かにお願いします。
そして、特に高額品については、画像もできるだけ鮮明に、裏表・全体が分かるように複数枚の画像を見せてください。

まあ、ネットでの購入をする限り、リスクがゼロには絶対にならないんでしょうけどね・・・・・
 
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